中国経済の今を知り、未来を読み解く

home 中国人 中国人が「爆買い」する背景とメカニズム

中国人が「爆買い」する背景とメカニズム

1回の購入金額が30万円とも100万円とも言われている中国を中心とするアジア圏の観光客によるいわゆる「爆買い」は、そのインパクトの大きさから連日メディアで取り上げられるほどの注目を集めていますが、内容まで詳しく触れている特集はあまり多くありません。

今回は、「爆買い」について様々な視点から見てみましょう。

「爆買い」とは何か

そもそも、「爆買い」とはどのような行為のことを言うのでしょうか。
正式な言葉の定義はないものの、基本的には「一度に特定のジャンルの商品を大量に購入すること」を言います。毎年2月の中国の最も重要な祝日期間である「春節(旧正月)」期間中は、特に中国人観光客の来日が多く、2015年の春節期間中には訪日観光客は45万人に登り、その消費金額は66億元(1140億円)にもなったと伝えられています。

主に「爆買い」の対象となるのは、「四宝」とも呼ばれる「炊飯器」「魔法瓶」「温水洗浄便座」「セラミック包丁」を中心として、医薬品や化粧品などの家電製品や日用品の人気が極めて高いということです。
これらの製品の人気が高い理由として言われているのは、中国製の製品の品質の低さです。
1980年代の「改革開放」の結果、急速に主要国の技術導入が進んで「世界の工場」とも呼ばれるようになった中国ですが、安かろう悪かろうのイメージは拭いがたく、「メイド・イン・チャイナ」の製品は敬遠される傾向にあります。これに対して「メイド・イン・ジャパン」の製品は、高品質なイメージから中国の富裕層にとって憧れの商品であり、人気の高いブランドです。
そのため「爆買い」の恩恵は、来日する中国人観光客が殺到する都市部の大手家電量販店や有名百貨店のみに留まり、地方に波及しにくい傾向がありました。
都市部の中でも「爆買い」需要が発生するのは外国人観光客の多い東京や大阪などの大都市圏に限られ、その中でも交通の利便性が高くドラッグストアや家電量販店が集中している新宿や銀座、秋葉原などに集中する傾向があります。
しかし現在では観光客の訪問先の多様化により、これまで「爆買い」の恩恵を受けられなかった地域でも「爆買い」需要が発生するようになるなど、徐々に浸透してきているのが現状です。

「爆買い」の主役である富裕層

このような日用品の大量購入である「爆買い」ですが、主役となっているのはどのような人々でしょうか。
「爆買い」の主役は、1980年代の「改革解放」により沿海部の解放特区に大量に生まれた富裕層と中産階級層と言われていて、彼らの年収は6万元から50万元(約120万円から1千万円)までと中国国民の平均年収どころか、日本国民の平均所得である450万円を大きく上回る数字が出てきます。

このような中産階級が観光ビザで日本に入国し、東京や大阪などの家電量販店やドラッグストアで家電製品や日用品を大量購入することが「爆買い」の正体と言えるでしょう。

「爆買い」の今後

まだまだ局所的な現象の色が強いとは言え、「爆買い」は1000億円規模のお金が動く重要な経済動向となりつつあります。その先行きはどうなるのでしょうか。

最も大きなリスクとしては、購入主体である中国の中産階級の資産を支えている不動産高・株高が終わりかけていることです。
2015年夏に発生した「上海ショック」により、上海株式市場は1ヶ月の間に4割近く下落することとなり、比較的株式市場が落ちついた現在でも資産バブル崩壊の懸念は色濃く残っています。

また、「爆買い」そのものも不安視される材料の1つです。大量購入は1歩間違えれば買い占めにもなりかねず、実際に海外では「爆買い」が行き過ぎて買い占めになり、現地住民から苦情が入ったケースもあるようです。

更に、歴史認識の違いからくる外交関係のもつれなど、隣国同士である以上、避けては通れない様々なリスクも認識しておく必要があるでしょう。

おわりに

このように、功罪両面のある「爆買い」ですが、日本経済に一定の影響を与えることには間違いなさそうです。今後の動向がどうであれ、注目したいトピックの1つと言えるでしょう。