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中国の不動産バブルは崩壊したのか

2015年夏の上海株式市場の急落は、長らく噂されていた中国のバブル経済崩壊が遂に現実になる第一歩かと恐れられました。

幸いにも中国当局の強引とも言える対策により株式市場の急落だけに留まりましたが、依然としてバブル経済崩壊の懸念は拭えないまま残っています。
中国のバブル経済の内容と、その行方を探ってみましょう。
 

「改革開放」と富裕層の誕生

そもそも中国は、社会主義による平等な国造りを目標としていましたが、現実には少数の富裕層と多数の平民層に二分された資本主義的な社会構造となっています。なぜこのようなことになったのでしょうか。

大きな原因として考えられるのは、1980年代から強力に進められた「改革開放」政策です。1980年代から始められたこの政策は、沿海部に対外開放地区を設定し、さまざまな優遇政策を実施することで外向型の経済、輸出拡大、先進技術導入などの面で大きな役割を果たすこととなります。

「改革開放」政策の結果、中国国内でもそれまでの社会主義・計画経済一辺倒から、資本主義・自由経済的な風潮が生まれて、早くからその風潮に乗れた人が大きな資産を築くことに成功しましたが、結果としてそれまで平等であった中国国内にも格差が生まれることとなります。

富裕層の資産運用とバブルの発生

人が資産を築くと、次にその資産を目減りしないようにしながら増やすことを考えます。
資産を増やすためには、その資産を運用する必要がありますが、そのためには何であれ「価値を認められるものを、安く買って高く売る」ことが基本となります。

「改革解放」の結果、2000年代に入ると大きな経済格差を生み出しつつも世界有数の経済大国に登りつめた中国は、資産運用の季節に入ります。
最初に注目されたのは不動産です。特に沿海部の優良物件は富裕層の間の投資商品として扱われたため、1980年代の日本のバブル景気のときの不動産もかくやという勢いで急騰し、未入居のまま転売されるという事例が頻発することとなりました。

このような異常な不動産人気を問題視した中国当局は、不動産取引の規制に乗り出すことで不動産取引は急速に冷え込むこととなります。

不動産である程度の財産を成した富裕層が次に目をつけたのが、株式市場です。
中国の株式取引の中心である上海市場は、2008年の北京オリンピック前後に空前の6,000ポイントを記録しますが、オリンピック終了後は半年足らずで2,000ポイントまで下落すると、そのまま安定して推移していました。

しかし、2014年末ごろから再び上昇を始め、2015年夏には4,000ポイントを回復するほど急騰します。
この過熱ぶりを問題視した中国当局は、不動産と同じく株式取引の規制に乗り出しますが、唐突かつ強権的な内容であったために株式市場が急速に冷え込み、2015年夏のいわゆる「上海ショック」の引き金となりました。

このように富裕層の資産運用の対象は、不動産から株式へと移っているために「不動産バブルの崩壊」や「資産バブルの崩壊」が噂されていても、それが現実のものとなってきませんでした。
しかし今回の規制の影響は非常に大きく、秋口ごろから株式市場は安定しているものの、今後の動向には予断を許しません。

バブルは崩壊したのか

ここまでざっくりと中国の富裕層の資産運用の対象の移り変わりについて見てきましたが、気になるのは「今後の動向はどうなるのか?」という部分です。異常加熱とも言える不動産や株式だけではなく、銀行融資に頼らない資金調達方法である「シャドーバンキング」の返済焦げ付きなど、他の主要国に比べても中国経済は多くのリスクをはらんでいると言えます。

今日明日にそれらが一気に崩壊に向かうとは考えにくいものの、数年単位で考えると解消もしくは一気に破裂する方向に向かうことは間違いなさそうです。

おわりに

「爆買い」をはじめとして日本経済にも大きな影響を与える中国経済の動向ですが、先行きの不透明さは他の主要国以上のものがあります。
警戒してしすぎることはないのかもしれません。