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企業が「世界の工場」から撤退が始まった!そのワケとは

つい最近まで中国は「世界の工場」とも呼ばれ、日本の中小企業もこぞって中国各地に工場を建設し、完成品を輸入する経済的に不可分とも言える状況にありました。

しかし現在では、アベノミクスによる円安誘導に代表される様々な要因により、工場の国内回帰が進んでいると言われています。
中国の生産の現場に何が起こっているのでしょうか。中国が「世界の工場」になれた要因と、現在の状況を見てみましょう。

 

「世界の工場」中国とは

1980年代の「改革開放」政策からはじまる中国の対外開放政策は、欧米諸国や特に日本にとって貿易・投資機会を増やすこととなりました。
沿海部に設置された「解放特区」に主要国の企業進出が相次ぎ、鉄鋼や家電製品、電子情報機器などの工場建設が盛んに行われたことでこれらの製品の生産高が世界一となっています。

これらの製品は労働力に対する依存度の高い「労働集約型産業」と言われる産業の代表的なものであり、人件費が大きな割合を占める産業です。そのため為替レートが事実上固定されていて人件費をはじめとする各種コストの安い中国で製品を製造することで、製品のコストを大きく引きさげることが可能となり、主要国の企業がこぞって進出する大きな要因となったのです。

経済大国化と労働集約型産業の行き詰まり

2001年にはWTO(World Tourism Organization = 世界貿易機関)に加盟するなど、2000年代に入ると世界有数の経済大国となった中国ですが、同じころにはその勢いに陰りが見えるようになります。

主要国の大企業の工場を積極的に誘致したことで労働力不足に陥り、武器であった安い人件費が高騰するようになったことや、固定相場制から変動相場制に移行したことで人民元が他の通貨に比べると魅力的ではなくなったこと、表面化してきた主要国との政治体制の違いによる政治的リスクなどが大きな原因となり、企業進出が鈍ることとなりました。

中国当局もこの事態を重く見て、労働集約型産業から資本集約型産業、知的財産を柱とする経済構造への転換を促しますが、山寨(さんさい)と呼ばれる海賊版が横行する状態が改善せず、経済構造の転換は行き詰まりを見せています。

変動相場制への移行とシャドーバンキングの横行

中国進出の魅力的なポイントとして、安価な労働力がほぼ無尽蔵に使えることの他に、法定通貨である人民元が固定相場制を導入していたために他の主要国通貨に比べるととても低い交換レートで固定されていたために、製品価格が安いというメリットがありました。

しかし、経済成長とともに国際社会からの改革と自由化の圧力が高まり、2005年に固定相場制から変動相場制へと移行を果たしました。2015年時点でも変動幅が極めて限られている事実上の固定相場制を維持しているものの、移行以前ほどの強制力はないため、かつてほどの価格競争力はありません。
更に近年急浮上しているリスクとして、「シャドーバンキング」と呼ばれる銀行以外の金融機関が行う金融仲介業務が挙げられます。

他の主要国でも証券会社やヘッジファンドの行う「シャドーバンキング」が問題視されて規制をするかどうかの議論が行われていますが、中国では高利回りをうたう総額13兆元とも言われる「理財商品」や信託という形で行われた「シャドーバンキング」がモラルハザードや不動産バブルを引き起こしていると見られ、規制導入が急がれています。

おわりに

このように、経済成長と主要国入りとともに、他の主要国と同じような問題に悩まされるようになったために安価な製品を作りにくくなったために「世界の工場」という看板を下ろしかけているのが中国の現状と言えるでしょう。
しかし他の主要国に比べると各種コストはまだまだ安いため、しばらくは製品生産の主要な国の1つと言えそうです。

参考サイト

FX比較なび