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中国経済の衰退が影響し始めた日本企業への影響

小康状態を維持しているとは言え、2015年夏に発生した「上海ショック」とも呼ばれる上海市場の株価指数の大幅な下落を原因とする世界同時株安は、2008年の世界金融危機の傷がようやく癒えてきた世界経済に大きな緊張をもたらしました。
そのあとに矢継ぎ早に打ちだされた各種政策によって上海市場は落ち着きを取り戻し、世界の株価も回復傾向にありますが、様々な統計を見るかぎりでは中国経済にかつての勢いはないと言えます。
今回は中国経済の衰退が日本企業にもたらす影響について見てみましょう。

 

中国経済の衰退の原因はなにか

上海ショックの直接の原因としては、一部証券会社が残高が大きく膨れ上がっていた信用取引を規制すると発表したことによる信用取引の決済取引が重なったことが大きな要因と言われています。
ではなぜ、株価に大きな影響を与えるほど信用取引の残高が積み上がっていたのでしょうか。その大きな要因と言われるのが、現在の中国共産党の指導者である習近平(しゅう・きんぺい)主席のとる「新常態(ニューノーマル)」政策にあるとする意見があります。
「ニューノーマル」政策は、中国は世界有数の経済大国としての地位を確固としたものとして、これまでの高度成長だけを目指した経済政策を終了し、持続可能な安定成長を目標とする経済政策に方針転換する政策です。
 
2008年の世界金融危機以降、中国は大規模な公共投資を継続することで主要国の中でも唯一と言って良い高い経済成長率を維持した国となり、2010年には日本を抜いて世界第2位の経済大国の地位をしめるまでになりました。
しかしその結果、国内の経済・貧富の差の拡大による国民の不満の増大や、環境汚染による世界的な批判など、様々な問題に直面することとなります。これらの問題に対処するべく打ちだされた政策が「ニューノーマル」政策でした。しかしその実態は、それまでの高度成長の時代と変わらないどころか個人投資家の積極的な投資を推奨するなど、よりリスクを積み上げる内容でした。
 
「ニューノーマル」政策を受けて最盛期には総人口の1割近い1億人程度が参加しているとも言われた中国の個人投資家は「股民(グーミン)」と呼ばれるようになります。
「股民」は巨額の信用取引を行うことで個人資産を膨らませるだけではなく、株価の上昇にも大きく貢献しましたが、一部の証券会社が信用取引に対して規制を導入したことをきっかけとして一斉に信用取引の精算をはじめ、上海ショックへと繋がったとされています。

 

中国経済と日本企業への影響

仮にこのまま中国経済が失速すると、日本企業にどのような影響があると考えられるでしょうか。実は日本企業の利益に占める中国経済の影響は言われているほど大きくなく、一部企業を除いては限定的なものに留まると思われます。
日本の主要な貿易相手国であるアメリカと中国への輸出品の内容を見てみると、その理由の一部が分かります。

 
アメリカへの輸出製品の内訳の大部分が自動車などの完成品ですが、中国向けの輸出製品の内訳を見てみると、一般機械や電子部品などの製品として完成していない「中間財」と呼ばれるものであり、最終的にはEUやアメリカへと輸出されます。
つまりこのまま中国経済が失速したとしても、回りまわって世界経済に大きな影響がある場合を除いては2008年の世界金融危機のときのような急激な景気減速は起こりにくいと考えられるのです。
 
もちろんグローバル化が進んでいる現在では、1国の経済政策の失敗はそのまま世界経済の危機へと繋がる可能性は極めて高いため、最終的には大きな影響があることは覚悟しなければならないでしょう。

 

おわりに

中国経済の失速は回りまわって日本企業・日本経済に大きな影響を与えると言われています。既に一部の製造業ではコスト面での競争力がなくなったことを理由として、工場の国内回帰の動きもあります。
今後の中国経済の動向には十分に注意を払うようにしましょう。