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投資リスクが高い?中国市場の特異性とは

リスクを背負うことでリターンを追求するのが投資の大原則であり、リターンを求める投資家は新興国にも投資をします。しかし新興国は規制の整備が追いついていないため、より大きなリスクを背負うこととなります。
今回はそんな新興国の中でも、特に「チャイナリスク」と言われるほど大きなリスクを抱えている中国市場の特異性を見てみましょう。

 

世界の国々に存在するカントリーリスクとチャイナリスク

先進国でも新興国でも投資をする限りはリスクを負ってリターンを追求するのが投資の大原則と言われていますが、国ごとによって大きく異なるリスクのことをカントリーリスクと言います。
カントリーリスクとは、海外投融資や貿易を行うときに対象となる国の政治・経済・社会環境の変化のために、個別事業相手が持つ商業リスクとは無関係に収益を損なう危険の度合いのことを言い、公表されている様々な統計情報から民間の格付け会社によって公表されます。
 
先進国は経済的・政治的に安定しているため、カントリーリスクは低く見積もられますが、新興国は制度面での不備など、様々な要因によってカントリーリスクが高く見積もられる傾向にあります。
新興国に大きく見積もられるカントリーリスクの中でも、特に中国はカントリーリスクがピックアップされることが多く、中国特有のカントリーリスクをまとめて「チャイナリスク」と呼んでいます。

 

チャイナリスクの特異性

中国だけではなく、新興国に共通して高く見積もられているのはカントリーリスクの特徴ですが、何故中国だけが「チャイナリスク」として大きく取り上げられるのでしょうか。
1980年代の改革開放以降、中国は沿海部を中心に「世界の工場」として安価な人件費を武器に飛躍的な経済成長を成し遂げ、2010年には日本を抜いて世界第2位の経済大国の地位を占めるまでになりました。
ここまで経済規模が大きくなると、世界経済の中での中国経済のウェイトは大きなものとなり、グローバル経済に組み込まれることとなりました。その結果、中国製品が流通網に乗って世界中に拡散することとなり、ある企業で製品の不正が明らかになったときには、その製品は流通網に乗って世界中に拡散しているために問題収拾に莫大なコストが掛かるようになっていることがあげられます。
 
これだけなら他の新興国にも共通するカントリーリスクの1つであり、それほど大げさに取り上げる必要はありませんが、中国は市場経済を導入しながら共産党による一党独裁体制を維持している世界でも珍しい国であり、政治と経済が対立する場面では政治の理論が優先されます。そのため中国市場や中国製品は、経済的に不合理なリスクを背負うことが多々あるのです。
 
その典型的な例が、安全保障を名目に様々な電子機器に半ば公然と組み込まれているバックドアや民事訴訟法255条による外国人の出国規制をはじめとするセキュリティーリスクや、海賊版や模倣品の氾濫とその取り締まりへの熱意の薄さや役人へのワイロなどのオペレーションリスク、治安面でのリスクなどです。
これらの様々なリスクが一体となって円滑な取引や流通を妨げることが度々発生しているため、中国特有のカントリーリスクとして「チャイナリスク」と呼ばれているのです。
 
更に日本に限っては、日中戦争と戦後の教育を原因とする反日感情の蓄積と暴発という更なるリスクが存在するため、近年では「政冷経熱」と言われる奇妙な共存関係が築かれています。

 

おわりに

カントリーリスクは新興国だけではなく、アメリカや日本にも存在する投資上のリスクです。
特に新興国は制度面の不備などからカントリーリスクが大きく見積もられる傾向があり、中でも中国は独特な政治体制により実態よりもカントリーリスクが大きく見積もられている部分もあります。
中国に投資をするときには、色眼鏡を外して見ることも必要と言えるのではないでしょうか。