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世界経済崩壊の予兆?2016年大暴落で始まった上海市場

2015年夏から下げ止まらない上海株式市場

世界の金融関係者は2015年夏から下げ止まらない中国・上海株式市場の株式指数の行く末に戦々恐々としています。

2015年夏には1ヶ月足らずで5,000ポイント台から3,000ポイント台まで下げ、中国当局は取引停止も含む様々な対策を打ち出したことで一時的に下げ止まりましたが、年が明けてからは再び下落傾向にあります。
なぜ上海株式指数は下げ止まらないのでしょうか。今回はその原因と今後について見てみましょう。

なぜ下げ止まらないのか

中国当局の様々な対策にも関わらず、なぜ中国の株式指数は下げ止まらないのでしょうか。

もっとも大きな理由としては、中国の株式市場で大きな取引額を担っている個人投資家(股民=グーミン)が一斉に同じ動きをしていることが考えられます。
1億人とも言われる中国の投資家人口は、そのほとんどは株式取引が解禁された1980年代以降に株式取引をはじめた一般市民であり、海外の個人投資家と比べても経験が浅いと言わざるを得ません。
半世紀にも満たない中国の株式市場の歴史の中でも、過去に暴落とも言える株式指数の急落は何度かありました。もっとも知られているところでは、北京オリンピック前夜の2007年の急落です。
しかしこのときに参加していた個人投資家は比較的富裕層に限られていたため、株式指数が急落しても不動産をはじめとする堅調な値動きを続ける他の資産にスイッチすることが容易だったため、リスクを局限することができました。
これに対して今回の急落は、株式に一点張りでリスクを分散できない一般市民が大多数であり、株式指数が下落しきる前に株式を現金に戻しておこうという動きが強く、下げ止まらないのです。

この動きに拍車を掛けることになったのが、信用取引のへの規制導入です。
股民たちは株式取引に堅実な資産運用ではなく、夢のある一攫千金を求めていたために、少ない資金で大きな利益を期待できる信用取引を活用していました。
もちろん自分の資金でまかなえる金額で信用取引をする分にはそれほどリスクは大きいとは言えませんが、高利貸しから借金までしてすると、途端に恐ろしく危険な取引に早変わりします。

このような様々な条件や規制の導入が重なった結果、2015年夏の上海株式指数の急落と、それに続く世界同時株安が起こったのです。

このまま下げ止まらなければどうなるのか

世界同時株安のきっかけとなった上海株式市場の急落ですが、中国当局による一部株式の取引停止という中国でしかありえない強権的な対策まで行なったことで、一時的に沈静化しました。
しかし年明けに市場安定化のために「サーキットブレーカー」を導入したことに過剰に反応して急落し、1週間足らずでサーキットブレーカーの仕組みを一時停止とすると即座に反発するなど、中国の株式市場は今回の危機に対応できるほど成熟しているとはとても言えません。今後も些細なニュースで更なる急落の可能性は大いにあると言えるでしょう。

では実際に上海の株式指数が急落した場合、世界経済にどのような影響が及ぶと考えられるでしょうか。
既に2015年夏の急落と前後して、習近平(しゅう・きんぺい)国家主席は、現状を追認するように「新常態(ニューノーマル)」と称して、これまでの高度成長一辺倒ではなく安定成長を目指すことを新しい国家方針として定めました。
その結果、2015年の中国の年間GDP成長率は6.9%と四半世紀ぶりに7%を割り込み、世界経済に対して大きな影響を与えつつあります。
今後もこのニューノーマルが続くのであれば、世界経済は中国経済の需要に頼らない経済構造を構築する必要に迫られることになりそうです。

おわりに

このように中国経済の減速が明確になりつつある中で、上海株式市場の急落は中国経済に大きなダメージを与えかねない要素の1つとして警戒されています。
株価の値動きは年明け直後の急落を除いて小康状態にあるとは言え、今後も注目する必要がありそうです。